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整理解雇(リストラ)を言い渡されたときの確認事項と対応について

会社の経済状況が著しく悪化しているときはリストラが起こることもあります。「整理解雇」という形で通告を受け、突然の出来事に大きなショックを受けることでしょう。しかしご自身の状況をそれ以上不利にしないためには、落ち着いて対処していくことが求められます。

ではどう対応していけばいいのか、当記事では「解雇を受け入れる場合」と「不当解雇であると争う場合」に分けて解説していきます。

まず確認すべき基本事項

整理解雇の通告を受けたとしても、落ち着いてまずは解雇理由を確認しましょう。加えて、退職も視野に入れるのであれば退職にあたっての条件も要チェックです。

解雇理由

会社側が主張する整理解雇の理由を具体的に確認します。「経営不振」「事業縮小」などと抽象的な説明しかしてくれない可能性も考えられますが、この文言を盾にして会社が自由に従業員を解雇できるわけではありません。整理解雇が法的に有効となるにはそれ相応の理由やその他の事情がなければならないのです(具体的な要件は後述)。

 

そこで解雇が正当なものであるかどうかを判断するためにも、次のように詳細を聞いておき、その内容を記録しておきましょう。

 

  • どの程度売上が減少したのか
  • どの程度の赤字額なのか
  • どの事業部門が縮小・廃止されるのか
  • 今後の経営の見通し
  • 人員削減が必要な具体的理由 など

 

これらの情報は、整理解雇の妥当性を判断するうえで不可欠です。口頭での説明だけでなく、書面での提示を求めましょう。

※法律上、従業員には「解雇理由証明書」を請求する権利が認められていて、これを受けた会社は遅滞なく書面を交付しなければならない。

解雇条件の詳細

続いて解雇の条件も細かく確認していきます。もし整理解雇が法的に有効であったとしても、何の手当などもなく即時に解雇することは基本的に認められません。

 

そこで「解雇予定日」や「解雇予告手当の有無と金額」、そのほか「退職金の金額と支払い時期」「有給休暇の残日数とその処理について」「社会保険の切り替え時期」「離職票の交付時期」なども明らかにしておきましょう。

解雇自体は争わない場合の対応

整理解雇を受け入れるとしても、より良い条件で退職するため、交渉を検討する価値はあります。

退職条件の改善に向けての交渉

退職条件が十分納得のいくものでなければ、「退職金の上乗せ」や「退職時期の調整」、「再就職までの支援」を求めての話し合いを行うと良いです。

 

退職金の交渉に関しては、たとえば勤続年数や貢献度を強調したり同業他社の事例を提示したりして増額を求める方法、再就職できるまでの生活費を根拠に金額を提示する方法などが考えられます。

 

退職時期については、たとえば有給休暇をすべて消化できる時期としてもらったり、年度末など転職市場が活発な時期へ調整してもらったり、といった方法が考えられます。

 

また再就職支援に関しては、たとえばアウトプレースメント(外部の企業に委託して再就職に向けた研修・求人紹介など行うサービス)を求める方法もありますが、その対応が難しいときは転職活動期間として一定期間猶予してもらい、その間の在籍を認めてもらうことなども交渉してみると良いでしょう。

失業保険給付の手続き

解雇日までに転職活動が完了していない場合、給与の発生しない空白の期間が生まれてしまいます。その場合は、生活に困らないよう、雇用保険の失業給付を受け取るための手続きを進めましょう。

 

また、整理解雇を受けたときは「会社都合退職」として扱われ、自己都合退職に比べると給付条件が優遇されます。たとえば自己都合だと[7日+13ヶ月]の待期期間が発生しますが、会社都合であれば[7]の待期期間のみで、すぐに給付を受けられます。受給のための前提要件(勤務期間の長さ)や給付期間においても自己都合より優遇されます。

 

適切な給付を受けるためにも離職票をチェックし、「自己都合退職」などと記載されていないことも確認してください。

不当解雇を争う場合の対応

以下のようなケースであれば不当解雇の可能性が高いです。

 

  • 1ヶ月以内の解雇日を突然言い渡された
  • 産休・育休中の解雇
  • リストラといいつつ新規採用を行っている
  • 配置転換された従業員もいるが自分だけは解雇といわれた
  • 経営陣が高額な役員報酬を維持したままリストラをしている
  • 労働組合活動を理由に解雇された など

 

整理解雇に納得できないときは法的な観点からその妥当性を検証し、争うことも可能です。弁護士にも相談しながら対応を進めていきましょう。

整理解雇の正当性を検証

整理解雇が法的に有効かどうかを判断するには、次の4つの要素に着目する必要があります。

 

  1. 人員整理の必要性
    • 本当に経営上の必要性があるのか、財務諸表などから実態を確認する
    • 「生産性向上」を目的とするだけでは十分といえない
  2. 解雇回避努力義務
    • 会社が解雇以外の手段を十分検討したかどうかを確認する
    • 「希望退職者の募集」「役員報酬の削減」「配置転換」「新規採用の停止」などの検討もせずに解雇を選択すべきではない
  3. 人選の合理性:解雇対象者の選定基準を検証
    • 特定の人物を解雇することに合理性があるかを確認する
    • 客観的・公平な基準に基づく判断か、差別的な選定がされていないかを重視する
  4. 手続きの妥当性
    • 整理解雇について十分な説明や協議が行われたか
    • 労働組合との交渉の有無、一方的な通告ではないか、など

 

なおこれらは判例に基づく判断要素であって、以上の内容から明確に有効性の線引きができるわけではありません。個別の事情を踏まえた総合的な判断をしないといけない点には十分注意してください。

証拠等の収集

整理解雇が違法であると思うなら、争うためにも証拠を集めておく必要があります。

 

たとえば雇用契約書や就業規則の記載内容、給与明細、解雇通知書、解雇理由証明書、会社の財務諸表などの書類の収集。そのほか上司や人事とのやり取りのメールや会話の録音データ、同僚の証言、日々の業務日報や成果物なども証拠として使えるかもしれません。

 

厳格な証拠を用意していなくても、会社との交渉でスムーズに解決できる可能性はあります。しかしながら、こちらの意見を受け入れてくれないときは最終的に訴訟を提起するかもしれず、その手続きにおいては証拠が不可欠なため揃えておくことが推奨されます。

弁護士への相談

解雇に納得いかないときは、1人で悩まず専門家に相談しましょう。会社と一従業員では交渉力などのパワーバランスに大きな偏りがあります。組織と対立し交渉をしていくにはこちら側にも交渉力が必要となりますので、労働問題を取り扱っている弁護士に相談し、対応を依頼すべきです。

 

弁護士であれば法的観点から専門的アドバイスをすることができ、証拠の集め方から会社との交渉の代理、訴訟手続きの代理など、幅広いサポートが可能です。ほかに総合労働相談コーナーなど行政の窓口も利用できますが、個別の紛争について代理で対応はしてくれません。

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谷 次郎

谷 次郎Jiro Tani

個人の法律問題から専門的な事件まで、豊富な経験を活かしてご相談者様のお悩みを親身に伺います。問題が悪化してから来られるよりも、早めのご相談が、時間もコストもかからずに解決するケースがほとんどです。

所属団体
大阪労働者弁護団
経歴
2012年 弁護士登録

事務所概要

事務所名
冠木克彦法律事務所
弁護士
谷 次郎(たに じろう)
所在地
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満1丁目9番13号パークビル中之島501号
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