労働条件の不利益変更に同意しないとどうなる?どう対処すべき?
会社から給与削減などの労働条件変更を求められたとしても、それに同意をすべき義務はありません。しかし、「断ったら解雇されるかも」「職場で浮いてしまう」といった不安からそのまま受け入れてしまう方も少なくありません。
では納得がいかない不利益変更に対して同意をしなければどうなるのか、そのときの会社の対応に問題はないのか、法的な観点から解説をしていきます。
同意しなかった場合に起こり得る問題
労働条件の変更に同意しなければ現在の条件が維持されるはずですが、同意を受け入れさせるため、あるいはそれ以外の目的で次のような扱いをされる可能性があります。
職場での孤立や嫌がらせ
会社の求めに応じないことで、職場内での露骨な嫌がらせを受けて孤立してしまう可能性はゼロではありません。上司から重要な業務を外されたり会議に入れてもらえなくなったり、といった行為が行われるケースもあります。
これらの行為は当然法的にも問題があります。労働条件の変更を受け入れないことを理由にこうした「不利益取扱い」が正当化されません。
人事評価や昇進への悪影響
労働条件の変更を受け入れなかったことで人事評価を意図的に下げられたり、昇進や昇格の機会を奪われたりするケースもあります。希望する部署への異動が突然認められなくなる、それまで順調だった昇進コースから外されるといった不利益を受けることもあるでしょう。
しかし、このような人事上の報復行為も労働法に反します。
配置転換や業務変更の可能性
労働条件変更に同意しない従業員に対し、突然の配置転換や大幅な業務変更を命じるケースも考えられます。具体的には、通勤困難な遠方への転勤、専門性をまったく活かせない部署への配置、単純作業への降格などが起こり得ます。
もちろんこのような配置転換や業務変更も人事権の濫用として違法となる可能性が高いです。人事権の行使には業務上の必要性や人選の合理性などが認められる必要があるところ、単に会社の求めに応じなかったことを理由とする報復的な配置転換はその要件を満たしません。
条件の不利益変更を求められたらどうする?
労働条件の変更を受け入れる義務はありませんが、これを拒否することによる上記不利益取扱いを受ける危険性があります。法的に問題があるとはいえその違法性を適切に立証できなければ労働者側の主張も受け入れられないため、不利益取扱いであることが客観的に示せるように備えましょう。
やり取りは記録に残す
会社側の違法性を示すには、記録が必要です。記録は多いほど特定の事項を立証しやすいため、会社から労働条件の変更を求められた事実、それに対する労働者側の対応、その後の処遇の変化など、各過程での動向を形に残しておきましょう。
そのためにもできるだけ口頭でのやり取りで終わらせず、メールや書面を使った意思表示をすべきです。また、不利益取扱いが行われているという事実もできるだけ記録に残し、それが同意をしなかったことを原因としていることについても示せるように備えます。
決定的な証拠を確保するのは難しいかもしれませんが、日報や上司とのやり取りが残されたメール、そのほか多種多様な情報を残しておくことで「違法な扱いを受けている」と評価してもらえる可能性は上げられます。
代替案の提示も検討する
会社とのやり取りの仕方も大事です。ただ拒否するだけでなく、代替案を提示するなど協調的な姿勢を示すことで不利益な扱いを受けるリスクは避けやすくなります。
不合理な変更を無理に受け入れる必要はありませんが、会社側にも事情があるのなら、たとえば基本給削減の代わりに賞与で調整してもらうなど別の案を考えると良いでしょう。折衷案を考えることで、当初の要求を受け入れなくても会社側から納得を得やすくなります。
1人で悩まずに相談
会社との交渉は、労働者にとっては分が悪いです。一労働者と多くの労働者を雇用する組織とでは実質的な力関係に大きな差があり、特に規模が大きい会社であるほどその傾向は強くなります。
そこで労働者も1人で対処しようとせず、プロの力を借りて交渉に臨むことをおすすめします。
労働基準監督署の活用
労働環境に関する相談先の1つには「労働基準監督署」があります。
同署は労働基準法違反に関する取り締まりなどを行っており、違法な扱いを受けたときはここに相談することができます。そして問題があると判断したときは同署が検査を行い、必要に応じて会社に対し指導などを実施してくれます。
これにより一定の改善効果が期待できるでしょう。ただし同署は個別の労働条件交渉にまで介入はしてくれないため、個人的な労働条件の是正や賠償などの救済を求めるときは別途対応しないといけません。
弁護士の活用
個別の対応を求めるなら「弁護士」を活用しましょう。弁護士は労働基準監督署とは異なり、労働者個人の代理人となって、労働条件の交渉や損害賠償請求などの対応もカバーすることができます。
会社側の違法性を立証するために必要な行動、証拠を集めるためのアドバイスなども弁護士なら可能です。
早めに専門家のサポートを受けるとできることの幅も広がりますので、「会社から交渉を持ちかけられた」「労働条件の変更を求められた」といったタイミングで相談することをおすすめします。
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谷 次郎Jiro Tani
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