取消訴訟の訴訟要件や訴訟にかかる費用など
行政機関が行った行政処分に不服がある際には、その違法性を理由に取消訴訟を提起できる場合があります。
もっとも、行政機関の行為全てについて、取消訴訟を提起できるわけではなく、当該行為の性質や、当該訴訟を提起しようとする者の属性等の観点から制約を受けます。
このように、実態に踏み込んだ判断をする前に、取消訴訟を提起することができるのかどうかが問題となり、ここで検討されるものを訴訟要件といいます。
このページでは、訴訟要件について、訴訟の際にかかる費用と併せてわかりやすくご紹介します。
取消訴訟の訴訟要件
取消訴訟の要件としては、①処分性、②原告適格、③狭義の訴えの利益、④被告適格、⑤出訴期間、⑥管轄が挙げられます。
①処分性
取消訴訟の対象は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に限定されています。
いいかえると、処分性の認められる行為に限定されているということです。
処分性が認められるためには、「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」とされています。
これらを分解すると、「公権力性」として、当該行為が法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行われるという性質を有していることが求められ(合意を伴う契約は含まれないなど)、法的効果として、当該効果によって法律上の利益に変動を及ぼす場合のほか、実質的に個人の法的地位に変動を与えることが求められます(事実上の不利益にすぎないような場合には原則として認められないなど)。
②原告適格
当該処分の取消を求めるにつき『法律上の利益を有する者』とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいいます。当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益をもっぱら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、かかる利益も上記の法律上保護された利益に当たるとされています。
原告が侵害されたと主張する利益を、処分の根拠となった法律の条文あるいはその周辺の法律(群)がこれを特別に保護する趣旨を持っているかということです。
例えば、単に、種の保存のためにも環境保全は大切だとか、一般公益的な利益は、原告との関係で、当該利益を特別保護する趣旨を法律が有していない限り認められません。
③狭義の訴えの利益
取消判決によって、侵害されていた権利や地位が回復されない場合には訴えの利益なしと判断されます。
訴えの利益に欠く訴えを判断することは訴訟不経済なので却下されます。
④被告適格
被告適格については法定されているため、かかる者を被告にする必要があります。
⑤出訴期間
出訴期間も行政事件訴訟法に法定されており、これを徒過すると、却下されます。
期間は、処分を知った日から6か月、処分の日から1年とされています。
⑥管轄
原則として、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所に提起する必要があります。
取消訴訟にかかる費用
取消訴訟にかかる費用は、印紙代・弁護士費用等となります。
印紙代は訴額、すなわち、訴訟の目的となっている権利の価額によって異なるのですが、取消訴訟は上述のように行政機関の取り消しを求めるものなので、訴額の算定が難しく、そのため一律160万円とされています。
訴額160万円の訴訟に対する印紙代は13000円とされています。
このほか弁護士費用がかかりますが、これについては事務所によってさまざまであるため、必ず確認するようにしましょう。
行政訴訟をお考えの方は弁護士谷次郎(冠木克彦法律事務所)にご相談ください
以上のように、取消訴訟の訴訟要件を満たさなければ、実体的な審査に入る前に訴訟を却下されてしまい、時間と費用が無駄になってしまいます。
また、処分性や原告適格の判断は専門的な知識が必要となり、弁護士に相談することが求められます。
弁護士谷次郎(冠木克彦法律事務所)は、行政訴訟に関するご相談を承っています。
当職は原発訴訟や保育園に関する訴訟、生活保護関係の訴訟など、さまざまな行政訴訟の解決実績があり、長年の社会経験で培った知見を活かしてご依頼者様の希望にかなった解決を目指します。
即日相談、休日や夜間の面談も可能です。行政訴訟でお悩みの際は、当職までご相談ください。
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谷 次郎Jiro Tani
個人の法律問題から専門的な事件まで、豊富な経験を活かしてご相談者様のお悩みを親身に伺います。問題が悪化してから来られるよりも、早めのご相談が、時間もコストもかからずに解決するケースがほとんどです。
- 所属団体
- 大阪労働者弁護団
- 経歴
- 2012年 弁護士登録
事務所概要
- 事務所名
- 冠木克彦法律事務所
- 弁護士
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