SNSでの晒し行為の被害者になったら?具体的な対処と解決方法
SNSには大きな発信力があり、個人情報を晒されると瞬く間にその情報が世界中に広がってしまいます。
これは深刻な被害を招く危険性を秘めた問題であり、被害を防ぐには速やかな初期対応と法的措置の検討が重要になってきます。
SNSで個人情報を晒された場合の具体的な対処方法について紹介しておりますので、ぜひご一読ください。
SNSでの晒し行為の実態
SNSでの晒し行為は、被害者の生活に深刻な影響を及ぼす重大な権利侵害です。
晒し行為の例としては、特定の人物の実名や住所、顔写真などを故意に公開するケースが挙げられます。これに加えて、その人物の過去の投稿を意図的に切り取って公開したり、事実とは異なる情報と組み合わせて拡散したりするなど、多様な手口がみられます。
このような晒し行為の背景には加害者のさまざまな心理が関係しています。「個人的な恨みや怒りの感情を晒し行為によって解消しようとする」「社会的な制裁を加える目的で行われる」「注目を集めたり話題を作ったりしたいという承認欲求」「金銭目的の恐喝や脅迫の手段として利用する」など、動機も多種多様です。
個人情報を晒されることの被害とは
SNSでの個人情報の晒し行為による被害は、オンライン上の問題にとどまらず、被害者の実生活全般にも大きな影響を及ぼします。
まず、不安やストレス、睡眠障害などの症状が現れるなど精神的な被害が発生することがあります。
また、経済的な被害が発生することもあります。晒された個人情報をもとになりすましや詐欺被害に遭うリスクが高まるでしょう。
特に深刻なのは、一度インターネット上に晒された情報を完全に削除するのは困難だという点です。長期間にわたって被害が継続する可能性があり、それが個人の名誉を毀損するような内容だと今後の進学や就職、結婚など人生の重要な局面でも悪影響が出るおそれがあります。
被害発覚直後の対処法
SNSで個人情報を晒された場合、できるだけ早く行動を起こすことが重要です。冷静さを保ちながら証拠を確実に確保し、そのうえで拡散防止の対策を進めていきましょう。これらの初期対応を適切に行うことで、その後の法的措置もスムーズになります。
証拠の保全
問題のある投稿や書き込みは、加害者によって突然削除されたりSNS運営側の判断で非表示になったりする可能性があります。
そのため、発見したらすぐに証拠となるデータを残しておきましょう。
まずは、問題となっている投稿のスクリーンショットを保存します。このとき、投稿日時なども含めて画面全体の情報を保存するようにしましょう。加えて以下の情報も確認できるなら証拠として保存しておくべきです。
- 投稿者のアカウント情報(ユーザー名、プロフィール画像など)
- 投稿したテキストに添付されている画像や動画など
- 投稿へのコメントやシェアに関する情報
個人情報の拡散防止
証拠を保全するとともに、拡散防止の対策も講じる必要があります。
そこで、SNSの運営会社に対して該当投稿の削除申請を行います。スクショなどの証拠も併せて提示することで対応してもらいやすくなるでしょう。同時に、自身のセキュリティ対策も重要です。具体的には以下の対応を進めておくべきです。
- すべてのSNSアカウントのパスワードを変更する
- 個人情報が含まれる過去の投稿を削除または非公開にする
- 二段階認証を設定する
- メールアドレス等のパスワードも変更する
- クレジットカードの情報が晒された場合はカード会社に連絡して利用停止を依頼する
- 銀行口座の情報が流出した場合にも銀行にその旨連絡して送金などをできないようにしてもらう
- 友人や家族に状況を説明して注意を促す
- 不審な連絡があったときは記録を取る
状況に応じて警察や弁護士への相談も検討しましょう。
法的措置の選択肢
SNSでの晒し行為は、プライバシー権の侵害や名誉毀損など、複数の法的権利の侵害に該当する可能性が高い行為です。
そこで被害者の方は、刑事・民事の両面から法的措置を検討しましょう。
ただし、それぞれの手続きには特徴があり、状況に応じて適切な選択をする必要があります。
刑事的対応
加害者の行為が犯罪に該当すると思われるとき、刑事的措置をとります。
たとえば次のような犯罪に該当するケースが考えられます。
- 名誉棄損罪
- 公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に適用される罪
- たとえば、「○○(実名)は、会社の金を横領している。自宅は○○(住所)にある。」などとSNSに投稿する行為
- 3年以下の懲役刑もしくは禁錮刑、または50万円以下の罰金刑が予定されている
- 侮辱罪
- 事実の摘示がなくとも公然と人を侮辱した場合に適用される罪
- たとえば、顔写真と実名を挙げて「こいつは無能だ。」などとSNSに投稿する行為
- 1年以下の懲役刑もしくは禁錮刑、または30万円以下の罰金刑が予定されている
また、個人情報を晒すとともに脅しとみられる行為があるときは、脅迫罪(名誉や財産などに危害を加える告知をして脅した場合に適用される罪)が成立する可能性もあります。
このような場合にも上述のとおりまずは証拠を確保しておき、そのうえで弁護士への相談、あるいは警察に被害届や告訴状を出すことも検討します。身の危険が差し迫っているときはすぐに警察に通報しましょう。
民事的対応
警察に通報をしても賠償金は得られません。経済的損失に対する賠償、慰謝料の支払いなどを求めるには民事的対応が必要です。
この場合もやはり相手方が不法行為をはたらいたという事実を客観的に証明できなければいけません。
証拠を確保したうえで加害者に直接請求をするか、裁判所を通じて支払ってもらうよう手続きを進めましょう。
なお、示談交渉をするにも訴訟を提起するにも、加害者を特定しないといけません。SNSだと顔も名前もすぐには特定できませんが、これを開示する法的な仕組みも年々整備が進んでいます。その後の訴訟対応も一般の方が対処する難易度は高いですし、被害が発生した段階から弁護士に相談・依頼し、情報開示の請求にも対応してもらうと良いでしょう。
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