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違法な建築確認の取消しを求める!建築確認取消訴訟を提起する要件や注意点とは

「建築確認取消訴訟」は、建築基準法に違反した建築確認処分に対して、その取消しを求めるための法的手続きです。近隣住民の生活環境を守るための重要な救済手段ですが、一般の方がその要件や手続きを理解するのは難しいでしょう。

そこで当記事では、建築確認取消訴訟の基本的な仕組みから実際に提起する際の要件、手続きの流れ、注意すべき点についてわかりやすくまとめました。

建築確認取消訴訟とは

建築確認取消訴訟とは、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の一種で、「建築主事や指定確認検査機関が行った建築確認の処分取消しを裁判所に求めるための訴訟」と説明できます。

 

建築確認とは、建築物の工事着手前にその計画が法令に適合するかを審査し、その結果として適合していると認める行為を指します。しかし、この処分が法に違反している可能性もありますので、その場合は近隣住民など法律上の利益を持つ方が、当該処分の取消しを求めることができます。

 

その結果、問題となっている処分が法に反して違法であると認められると、裁判所により建築確認の処分はなかったこととなります。

どんなケースで提起するか

建築確認取消訴訟が提起されるシチュエーションとして典型的な例をいくつか紹介します。

 

  • 日照阻害による被害のおそれがあるケース
    ・・・日影規制に反する建築物の工事に関して建築確認がなされて、日照阻害が生じる可能性があるとき、近隣住民は取消しを求めることができる。
  • 接道要件の違反があるケース
    ・・・建築物の敷地は道路に2メートル以上接していなければならないと法定されているが、この要件を満たさない建築確認がなされた場合も、取消しの対象になる。
  • 容積率や建ぺい率の超過、高さ制限の違反などがあるケース
    ・・・これらの規制は市街地の環境を保護し、防災上の安全を確保するために設けられている。違反があるなら近隣住民の利益が害される可能性があるため、取消訴訟を提起できる。
  • 防火規定の違反があるケース
    ・・・避難経路の確保に関するルールは住民の生命・身体の安全に直結するため、取消訴訟において争われることがある。特に防火規定違反の場合、近隣住民に重大な危険が及ぶおそれがあるため訴訟を提起することがある。

建築確認取消訴訟を提起する要件

訴訟を提起するには、厳格に要件を満たさなくてはなりません。仮に建築確認そのものが違法であったとしても、次の訴えを提起しようとする方が以下の要件を満たさなければ訴訟を起こすことすらできません。

 

建築確認の取消訴訟を提起するための要件

①原告適格

建築確認の処分によって、法律上保護された利益を侵害された、あるいは必然的に侵害されるおそれがある者でなければ原告適格を持たない。

建築確認に係る建築物により日照を阻害される周辺の居住者や、倒壊・炎上等で直接的な被害を受けると予想される範囲に居住する者、または当該範囲に建物を所有する者などは、原告適格を有すると考えられる。

②出訴期間

訴えを提起できる期間には制限がある。取消訴訟は、処分がなされた事実を知った日から6ヶ月以内、処分があった日から1年以内に提起しなければならない。

③訴えの利益

取消しを勝ち取ることにより、具体的な不利益が回避・是正される見込みがあると裁判所が判断すること。

工事が完了した後では取消訴訟の利益が失われるのが原則。これは、建築確認が「それを受けなければ工事ができないという法的効果が付与されるにすぎない」ため。

ただし、近隣への被害が継続する場合など、例外的に訴えの利益が残る場合もある。

訴訟手続きの進め方や注意点

建築確認取消訴訟の手続きは一般的な行政訴訟の流れに従いますが、建築確認の専門性に関連して特有の注意点もあります。以下に重要なポイントを示します。

違法であることを示す証拠の収集

訴訟提起の準備段階では、まず「証拠収集」に取り組みます。

 

建築確認申請書類、建築計画概要書、図面等の関係書類を収集し、どの規定に反しているかを具体的に特定しなくてはなりません。これらの書類は、建築主事または指定確認検査機関に対して情報開示請求を行うことで入手できます。

原告適格の立証

原告適格があることも客観的に示せる必要があります。近隣住民であれば、建築物による日照阻害や倒壊等の危険性など、具体的な影響範囲と程度を明らかにします。

 

また、訴状の作成時も処分の特定を正確に行う必要があります。建築確認処分の場合、確認番号、処分年月日、処分庁、建築主等を明記し、どの部分が違法であるかを具体的に主張します。

訴訟での主張・立証

訴えが認められると、後日審理が始められます。そこでは書面審理が中心となり、訴えを提起した原告は、建築確認が法に反していることを具体的に主張、そして資料等から立証していきます。

 

反対に、被告である行政庁は当該処分が適法であると反論し、適法性を主張してくると思われます。

 

この訴訟で勝訴を得るには、専門的知見の活用が不可欠でしょう。訴訟手続き全般をサポートする弁護士に代理人になってもらうほか、建築士などの専門家による意見書、証人尋問も効果的です。

判決後の手続き

第一審で勝訴判決を得ることができても、被告である行政庁が控訴する可能性があります。上級審で逆転される可能性も珍しくありません。

 

反対に、敗訴したときは控訴についても検討しましょう。ただし控訴期間は判決送達から2週間であり、この期間内に控訴状を提出しなければなりません。そして控訴審では、第一審での主張立証を補強し、新たな証拠や法的論点を追加することも必要です。

訴訟対応の注意点

建築確認取消訴訟では、工事の進捗にも留意しましょう。訴訟係属中も建築工事は継続され、判決確定前に工事が完了してしまうと、訴えの利益を失う可能性があります。そこで「執行停止の申し立て」や「仮処分の申し立て」を行い、工事の継続や効果の発生を一時的に止める手続きも検討します。

 

また、弁護士を活用することもご検討ください。建築確認取消訴訟は専門性も高い上、行政を相手に自身の意見の方が正しいことを適切な形で主張しなくてはなりません。そのため法律の専門家である弁護士への依頼が実質的に必須と考えた方が良いです。早期に弁護士へ相談し、戦略的なアプローチを検討することが重要といえるでしょう。

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谷 次郎

谷 次郎Jiro Tani

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2012年 弁護士登録

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