行政訴訟の種類とは
行政訴訟の手続きについて定めた「行政事件訴訟法」は、行政訴訟の種類として抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4つを定めています(行政事件訴訟法2条)。抗告訴訟と当事者訴訟をまとめて「主観訴訟」(国民の個人的な権利利益の保護を目的とする訴訟のこと)、民衆訴訟と機関訴訟をまとめて「客観訴訟」(原告の個人的な権利利益とは無関係に、客観的な法秩序維持のために行政作用の適法性を担保することを目的とする訴訟のこと)と呼ばれます。
■抗告訴訟
抗告訴訟は、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条1項)。
法定されている抗告訴訟はさらに6つに分けることができ、①処分の取消しの訴え、②裁決の取消しの訴え(①と②を合わせて「取消訴訟」という)、③無効等確認の訴え、④不作為の違法確認の訴え、⑤義務付けの訴え、⑥差止めの訴えがあります(同法3条2項以下)。
このうち、事件数が多く、最も一般的なのが①と②の取消訴訟で、行政事件訴訟法上も取消訴訟をメインで規定し、その他の訴訟は取消訴訟の規定を適宜準用する形式がとられています(いわゆる取消訴訟中心主義)。
■当事者訴訟
当事者訴訟は、当事者間で公法上の法律関係を争う訴えです。当事者訴訟には2つの類型があり、「形式的当事者訴訟」(当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの)と「実質的当事者訴訟」(公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟)があります(行政事件訴訟法4条)。
■民衆訴訟
民衆訴訟は、選挙に関する訴訟や住民訴訟のように、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。
■機関訴訟
機関訴訟は国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟です(行政事件訴訟法6条)。
行政内部における紛争に関する訴訟で、一般人にはあまり関係のない訴訟です。
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谷 次郎Jiro Tani
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- 所属団体
- 大阪労働者弁護団
- 経歴
- 2012年 弁護士登録
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