ネットで誹謗中傷を受けた場合の対策とは
インターネットにおいて誹謗中傷の被害にあってしまった場合には、どのような対応をすればいいのか、というご相談が最近になって急増しています。まず、個人でも対応可能な方法としては、反応せずに無視をしておくのが被害拡大の防止となり得るでしょう。
ここで権利侵害を行っている者に対して、むやみやたらに訴訟を起こす旨や、訴えるなどの発言は控えたほうがよいでしょう。
理由としては誹謗中傷がエスカレートしていく可能性の他に、訴訟を告知しただけでも脅迫罪に該当する可能性があるからです。
そして実際に個人の枠を超えて、弁護士等の司法によって解決する方法には、民事裁判と刑事裁判の2つの方法が考えられます。
民事裁判の場合には、まず書き込みを行ったプロバイダー、通信会社に書き込み主の氏名住所等の情報を求めます。
ここでこのような情報を求める理由としては、相手方の住所と氏名がわからなければ訴訟を提起することができないからです。
もちろんプロバイダー側にも、情報の開示を拒否する権利というものがあります。
したがって個人で開示を行うよりも、弁護士を通して弁護士会照会という制度を使うことによって開示のハードルを下げることもできます。
権利侵害を行っている者の情報が開示された後は、内容証明郵便を送付し、慰謝料を請求します。
もしここで相手が慰謝料の支払いおよび謝罪に応じない場合に、民事訴訟を提起することになります。
もちろんいきなり訴訟を起こすこともできますが、なるべく穏便に済ませたい場合には、内容証明郵便を送付する方法が適切でしょう。
刑事裁判の場合には、該当する書き込みを印刷し、警察に被害届を提出することで捜査が開始します。インターネット上の誹謗中傷は脅迫罪、名誉毀損罪、業務妨害罪などが成立する余地があります。名誉毀損罪は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と規定しており、公然とは不特定多数の目に入る可能性を指します。
また「事実の有無にかかわらず」とあるため、摘示した事柄が事実であっても罰せられる可能性があり、その逆である、事実ではない場合にも罰せられる可能性が出てきます。侮辱罪との違いは、事実の摘示が要件となっているか否かです。
単に「アホ」「ブス」などと書き込んだ場合には名誉毀損罪が成立する可能性は低いですが、侮辱罪に該当する可能性はあります。
また、業務妨害罪は会社や店などが誹謗中傷の対象となった場合に被害届を出すことができます。例えば、飲食店の口コミサイトなどに「料理に異物が混入していた」というような嘘を書き込み、営業を妨害した場合には、業務妨害罪が成立する余地があります。
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谷 次郎Jiro Tani
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