当事者訴訟とは?具体例を紹介
国や地方公共団体といった公権力の主体が行った行為に不服がある際には、行政事件訴訟法に則り、取消訴訟や差止訴訟、義務付けの訴え等の抗告訴訟を提起できる場合があります。
もっとも、抗告訴訟の対象になるのは、公権力の主体による処分性を有する行為であるため、国や地方公共団体の行為のすべてが抗告訴訟の対象となるわけではありません。
しかし、抗告訴訟の対象とならないため、救済の道が閉ざされるわけではありません。
行政機関を相手方として現在の地位の確認を求めるといった、当事者訴訟という類型が行政事件訴訟法上認められています。
このページでは、当事者訴訟とは何か、その具体例を合わせてご紹介します。
当事者訴訟とは
当事者訴訟とは、上述の通りでありますが、行政事件訴訟法上「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」をいいます。
当事者訴訟に関して判示した代表的な判例を題材にして以下の具体例が挙げられます。
例えば、「東京都教育委員会からの通達に従い、校長が職員に対して行った、国歌斉唱時の起立やピアノ伴奏を行うという職務命令に反してこれを行わなかった職員が懲戒処分を回避するための救済方法」として、当事者訴訟が考えられます。
すなわち、ここで想定される救済手段としては、後続する懲戒処分の差止めのほか、職務命令に従う義務の不存在確認訴訟が考えられます。
職務命令は、処分性はないため抗告訴訟の対象とはなりませんが、公法上の法律関係を確認する訴えとして許容される可能性があります。
ここでは、①確認対象の適否、②方法選択の適否、③即時確定の利益といった確認の利益がなければ訴訟要件を満たしません。
①確認対象の適否
確認対象の適否とは、紛争解決の観点から、確認するべき対象は適切かという観点から判断されます。
②方法選択の適否
方法選択の適否とは、確認の訴えは紛争解決にあたっては迂遠であることが多いため、他に直接的な手段があるならばそちらによるべきという観点から判断されます。
③即時確定の利益
即時確定の利益とは、原告の権利・地位に現実的な不安・危険が生じているかという観点から判断されます。
上に挙げた具体例以外にも例えば、公務員の無効な免職処分を争う地位の確認・給与などの公法上の金銭債権の支払い請求(確認の訴えではないため、確認の利益は不要です。)・損失補償請求が考えられます。
行政訴訟をお考えの方は弁護士谷次郎(冠木克彦法律事務所)にご相談ください
以上のように、行政事件訴訟法はかつて法律上明記されていなかった当事者訴訟という類型の救済手段を認めることによって、行政機関の行為に対する救済の間口を広げたといえます。
もっとも、上述のように、行政事件訴訟法上の抗告訴訟の対象となる処分性を有する行為にあたるのかどうか、当たらないとして、どのような訴えを提起すれば、救済されるのか、その際には、当事者訴訟という形をとる必要があるのか、あるとして、確認の利益を満たすのか、また、実体的に認められる訴えなのかどうかについては判断が難しく、法律の専門家である弁護士が慎重に検討することが求められます。
弁護士谷次郎(冠木克彦法律事務所)は、行政訴訟に関するご相談を承っています。
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谷 次郎Jiro Tani
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- 2012年 弁護士登録
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