生活保護の申請が却下された…訴訟を起こすにはどうしたらいい?
日本国憲法第25条に記載されている、いわゆる「生存権」に基づいて設けられた生活保護ですが、申請したとしても、時に却下されてしまう場合があります。
このページでは、生活保護の申請が却下された場合に、訴訟を起こすために行うことをご紹介します。
まずは審査請求を行う
生活保護の申請をする際、多くの場合、市役所の中にある福祉事務所に申請しているかと思います。
申請後、原則14日以内に福祉事務所から生活保護の開始決定または却下決定かの通知が来ることになっています。
この決定のことを法律の世界では「処分」といいますが、この「処分」に不服がある場合は審査請求を行い、取り消しを求めることが可能です。
今回の例では、却下決定という処分が通知され、これを知った日の翌日から数えて3ヶ月以内、もしくは却下決定という処分が出た日の翌日から数えて1年以内に、不服であると主張することになります。
この審査請求はどのように行うのかについてですが、基本的には都道府県知事に対して、審査請求書という書面を提出することになっています。
審査請求書が提出された後、審理を行い、都道府県知事は福祉事務所が出した却下決定が正当なものなのかどうかの裁決を出します。
都道府県知事の裁決の内容に不服がある場合はどうする?
審査請求を行い、都道府県知事が出した裁決について不服がある場合は、厚生労働大臣に再審査請求をすることができます。
再審査請求ができる期間は、都道府県知事対する審査請求の裁決があったことを知った日の翌日から数えて1ヶ月以内、もしくは都道府県知事対する審査請求の裁決があった日の翌日から数えて1年以内と決められています。
再審査請求のやり方は、1回目の審査請求のやり方に倣って行います。
再審査請求の結果でも不服の場合は裁判所の判断を仰ぐ
厚生労働大臣に再審査請求をした結果、生活保護の却下決定を取り消すことができなかった場合は、裁判所に訴えを起こし(訴訟を起こし)、生活保護の却下決定という処分が正当なものなのかを判断してもらいます。
そもそも、いきなり裁判で生活保護の却下決定の取り消しを求めることができないのかという疑問を持っている方もいるでしょう。
この点、生活保護に関する「処分」について不服がある場合は、審査請求をして裁決を経てからでないと裁判所に訴えを起こすことができないと生活保護法第69条にあるため、前述の審査請求や再審査請求をまずは行うということになります。
生活保護の却下決定を取り消す訴え(取消訴訟といいます)を起こす場合は、都道府県知事、もしくは厚生労働大臣の裁決があったことを知った日から6ヶ月以内に訴訟を起こす必要があります。
行政訴訟は弁護士 谷 次郎(冠木克彦法律事務所)にご相談ください
今回は生活保護の申請が却下された際に訴訟を起こすための手順についてご紹介しました。
冠木克彦法律事務所では、生活保護以外にも、行政全般のご相談を承っております。
お困りの際は、一度当事務所にご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
-
不当解雇をされたとき...
不当解雇とは、労働基準法や労働契約法などの規定によらず、事業主の都合のみによって正当な理由なく解雇をすることを […]
-
【弁護士が解説】行政...
ニュースや新聞などで「業務改善命令」という言葉を耳にしたり、車を運転される方であれば「運転免許の取消」、また事 […]
-
不当解雇の慰謝料を請...
不当解雇とは、法律や就業規則の規定にのっとらず、会社側の都合で労働者を一方的に解雇することを指します。具体的に […]
-
当事者訴訟とは?具体...
国や地方公共団体といった公権力の主体が行った行為に不服がある際には、行政事件訴訟法に則り、取消訴訟や差止訴訟、 […]
-
調停離婚が成立しなか...
■裁判離婚の流れと期間について調停離婚、審判離婚などの手続きを踏み、それでも話がまとまらなかった場合には、離婚 […]
-
【弁護士が解説】SN...
近年SNS上の誹謗中傷が社会問題となっていますが、かかる誹謗中傷に対して著名人が慰謝料請求をするケースが最近増 […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
谷 次郎Jiro Tani
個人の法律問題から専門的な事件まで、豊富な経験を活かしてご相談者様のお悩みを親身に伺います。問題が悪化してから来られるよりも、早めのご相談が、時間もコストもかからずに解決するケースがほとんどです。
- 所属団体
- 大阪労働者弁護団
- 経歴
- 2012年 弁護士登録
事務所概要
- 事務所名
- 冠木克彦法律事務所
- 弁護士
- 谷 次郎(たに じろう)
- 所在地
- 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満1丁目9番13号パークビル中之島501号
- 電話番号
- 06-6315-1517
- FAX
- 06-6315-7266
- 営業時間
- 平日9:30~17:30
- 定休日
- 土日祝
- 弁護士費用
- こちらをご確認ください