不当解雇の慰謝料を請求できるケース
不当解雇とは、法律や就業規則の規定にのっとらず、会社側の都合で労働者を一方的に解雇することを指します。
具体的には、「何の脈絡もなくリストラされた」、「妊娠したら解雇された」、「会社へ意見を述べたら解雇された」などの理由でリストラされた場合には、不当解雇に該当する可能性がございます。
そして、裁判所によって不当解雇が認められた場合には、解雇が無効となり、従業員の復職・金銭の支払いが求められます。
なお、会社側が労働者へ支払う金銭は、以下の2種類です。
①解雇期間中の賃金
不当解雇が認められた場合、解雇された従業員に支払われなかった賃金相当額の支払いを会社に請求することが可能です。
具体的には、「解雇時点の1日あたりの給与額」を「解雇後に給与が支払われなかった期間の日数」を掛けることで、請求可能な金額を算出できます。
②慰謝料
不当解雇が認められた場合、解雇期間中の賃金に加えて、慰謝料を請求できる場合がございます。
しかし、慰謝料を請求する裁判では、従業員側の勝率は低いのが現状です。
その理由としては、慰謝料は「解雇に対する精神的苦痛」に対して支払われるものの、裁判所の判断では、従業員が負った精神的苦痛は解雇期間中の賃金の支払いによって解決するとしています。
つまり、解雇期間中の賃金では補えない特別な精神的苦痛を負った場合にのみ、慰謝料の請求が認められるのです。
以下では、慰謝料の請求が認められた判例を、2種類ご紹介いたします。
①ニュース証券事件
こちらは、証券会社が競合他社の社員を勧誘し、その社員を競合他社から退社させたうえで採用したものの、営業成績の不振を理由に3カ月で解雇した事案です。
裁判所は、「証券会社が自ら勧誘を行い、競合他社を退社させてまで採用したのにもかかわらず、3カ月という短期間で営業成績の不振を理由とした解雇は性急すぎる」という判断を下しました。
そして、こちらの事案を不当解雇と認定し、会社に対し慰謝料150万円を従業員に支払うよう命じました。
②東京自転車健康保険組合事件
こちらは、健康保険組合が事業の不振を理由に従業員を解雇した事案です。
裁判所は、「解雇の理由が事業の不振ではなく、従業員が労基署や労働局へ相談を行ったことであると考えられる」という判断を下しました。
そして、こちらの事案を不当解雇と認定し、会社に対し慰謝料100万円を従業員に支払うよう命じました。
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谷 次郎Jiro Tani
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