運送業許可を取り消される理由とは?知っておきたい処分と対応策
運送業を営む事業者にとって「許可の取消し」は事業継続に直接的な影響を与える重大な問題です。法令に則り適切に運営をしていなければペナルティを科され、最悪の場合、許可の取消し処分を受けることもあるでしょう。
実際、2025年には日本郵便の運送事業許可取消しが大きなニュースになりました。他人事と考えず、許可取消しの処分を受けることのないように備えておきましょう。
運送業許可取消し処分の仕組み
運送業の許可取消しは、行政機関が事業者の運営状況等をチェックし、重大な法令違反や許可条件への違反などが確認されたときにこの処分が発動されます。
ペナルティとしては特に重い処分のため通常は警告・事業改善命令・事業停止命令を経た後に科されるのですが、悪質性が高い場合や重大な違反行為が発覚した場合には即座に取消し処分が下されるケースもあります。
なお、処分の判断基準の1つは「点数」です。違反行為ごとに点数が設定されており、基本的には累積点数が一定の基準を超えた場合に処分が決定される仕組みとなっています。
許可取消しに至る主な理由
運送業許可の取消し処分を受ける理由は多岐にわたります。そのうち注視しておきたい違反行為について見ていきましょう。
運行管理体制に欠陥がある
安全を担保するための運行管理体制が法令に沿って整備されていないとき、運送業許可の取消し処分を受けるリスクが高まります。
たとえば「運行管理者の選任義務違反」「点呼の実施義務違反」「運転者の健康管理義務違反」などが該当します。飲酒運転や過労運転による重大事故を引き起こした場合にも事業者の安全管理責任が問われ、取消し処分の対象となる可能性が高くなるでしょう。
また、運転者台帳や車両台帳の未整備、虚偽記載、運行記録計の不正操作などがある場合も、改善の見込みがないと判断されれば取消し処分を受けることになるかもしれません。
許可取得時に虚偽の申告をしていた
許可申請時に虚偽の事実を申告していた場合も取消し事由に該当します。
たとえば「営業所や車庫の実態がなかった」「資金計画に虚偽があった」「役員の欠格事由を隠していた」などのケースが該当します。
また、名義貸しや白ナンバー営業も要注意です。実際の事業実態がない状況で許可を取得し、他者に名義を貸与する行為は法令違反としても重大で、厳正に処分されます。
違反行為を何度も繰り返している
個々の違反行為が、単発では許可取消しに至るものではなくとも、それが反復継続的に行われている場合だと取消し処分の対象となり得ます。
「過積載運行」「速度違反」「駐停車違反」などの道路交通法違反、労働法違反などを繰り返している場合にも要注意です。
ほかにも「監査や指導に対して改善措置を講じない・虚偽報告を行う・調査に協力しない」といった態度が原因で処分が重くなるケースもあります。
取消し処分に対する不服申立ての方法
運送業許可の取消し処分に納得がいかないときのために、法的な救済手段が用意されています。
簡易迅速な「審査請求」と、厳格な審理を求める「訴訟の提起」がありますので、各手続きを確認しておきましょう。
行政機関への審査請求
処分の通知を受けた日から3ヶ月以内であれば、当該処分を行った行政機関に対して審査請求を行うことができます。処分の違法性や不当性を主張し、処分の取消しや変更を求めます。
行政機関内部で審理を行う手続きですので、訴訟に比べると簡易な方法で不服の申し立てを行うことができ、進行スピードが早いのも大きな特徴といえるでしょう。
ただし、審査請求でも処分が適切とは言えないことを示す何らかの資料が求められます。比較的利用しやすい手続きとはいえ、単に不満を述べるだけで結果が覆るわけではありません。具体的な根拠を示して反論します。
根拠資料の準備や主張の方法については、行政事件の取り扱い実績がある法律事務所に相談すると良いでしょう。
裁判所への取消訴訟の提起
行政処分に対しては、行政事件訴訟法に基づいて裁判所に取消訴訟を提起することもできます。
ただし訴訟を提起するときは、処分があったことを知った日から6ヶ月以内、または処分があった日から1年以内に提起する必要があります。
※審査請求を行ったときは、その結果を知った日から6ヶ月以内、または結果が出された日から1年以内のいずれか早い方が期限。
審査請求とは異なり中立な第三者(裁判所)が審理を行うためより公正な結果が期待できますが、その分手続きの進め方も厳格で、解決までに長い期間と大きな労力を要することになるでしょう。
訴訟手続きには専門的知識も要するため、弁護士のサポートを受けることが一般的です。
許可取消し処分を避ける予防策
運送業許可の取消し処分を避ける上で重要なのは、日頃から法令遵守を意識して事業活動に取り組むことです。
法令は運送業者に何を求めているのか、どんな義務を課しているのかを改めてチェックし、自社でその体制が適切に整備されていることを再確認しましょう。
具体的に留意しておきたいポイントとして、「運行管理者による適切な点呼の実施」や「車両の点検整備」などが挙げられます。点呼では、運転者の健康状態、飲酒の有無などを確認し、記録を正しく残しましょう。
また、役員など上層部が意識を高めるだけではなく、ドライバーをはじめとする全従業員に対して周知・教育することも大切です。
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